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津軽海峡漂流記

北海道へ行ってきました。
行き先は札幌と十勝です。


交通手段はJR、航空便、車、と選択肢様々ですが、
今回はこの9月に就航したばかりの津軽海峡の
高速フェリー「なっちゃんRera」 に乗ってみようと
車で向かいました。

 

 


青森~函館 1時間45分。
在来フェリーが3時間50分かかりますから、ほぼ
半分の時間で渡航できるのです。


行った先でのお話は、また別の機会にするとして、
帰りもまた「なっちゃんRera」です。

 

函館発17時30分の「なっちゃんRera」に乗船です。
帰りは日曜ということもあり、北海道ツアー客で
ほぼ満員です。


ビール片手のツアー客で喧騒の船内は私にとっては
ややうんざりといった感ですが、新鋭船はそれなりに
おしゃれです。


自動販売機は設置されてなく、係員の少ないコーヒー
スタンドではドリンクを求める乗船客で長蛇の列。


乗船定員の割合には程遠い女子トイレの数では、順番
待ちの女性が不満を口にしています。


そんな不備もそこそこ見受けられますが、なにせ
1時間45分という短時間です。
船内の施設としたらそんなところで十分というところ
なのでしょう。


短い船旅もあと20分で青森港に到着と思った矢先。
順調に回っていたエンジンが「うい~ん」という機関音
とともに停止しました。

 

 「???」

 

しばらくして船内放送です。

「船長の菊地です。
 エンジントラブルで緊急停止いたしました。
 原因調査中です
 しばらくお待ち下さい。」

とのことです。

 

ずいぶん待っても動き出しません。

またアナウンスです。


近くのおば様軍団が携帯電話・・大声です。

 

 「ええい。。うるさい! 
  アナウンスが聞こえん!」

 

と怒鳴りたいところをぐっと我慢し、耳を澄ませば
内容は、エンジン4機のうち1機しか動かない 
いうことです。


修理するから待ってください。
時間がかかるがご了承下さい
・・とのアナウンスです。

 

おいおい。。この津軽海峡で漂流かい。。
と思い、流されれば海の孤児かい?
と、ちと大仰な想像がはたらきましたが、これだけの
大型船が流されて関係各所がしらんふりもないでしょう
から、きっとそんなことはないな。。
と思い返し。。


ご了承下さいって言われても、じゃ下船して普通便に
乗り換えるというわけにもいかず・・
ただただ成り行きを見守るしかありません・・・

なにせ、ここは海の上なのです。。

 

待つこと数十分。

またアナウンスです。
さすがに今度は船内いっせいに、
 

 

    し~~~ん

 

と、なり・・アナウンスに耳をかたむけます。

 

「あーー船長の菊地です。
 修理しようとしましたが直りません。
 このままではお客様にご迷惑がかかりますので
 1機のエンジンのみで埠頭に向かいますが、
 通常の接岸が不可能です。
 よって体当たり接岸となります。
 その際は、相当な衝撃が予想されますので
 お客様は席を立たずに着席のままお待ち下さい。」

 

つまり飛行機でいうところの胴体着陸です。。

ゆっくりゆっくり船は埠頭に向かいます。


はじめはおとなしく座っていた親父たちは、辛抱ということ
ができないのか、うろうろと窓にへばりつきます。

一人がうろつくと、わさわさと親父たちやおばさんたちが
うろつきだします。


係りが巡回し、席を立たないでくださいと注意すると
いったん席には戻るが、係りがいなくなると、またまた
うようよ。。

まるで払っても払ってもまとわり付くアブ蚊のようです。


体当たり接岸だから危険なので席を立たないでと
なんどもアナウンスがあっても、窓にへばりついて
離れず、外の様子をしたり顔に説明するアホ親父。


ギャーギャーわめきながらアナウンスが聞こえないほどの
大声で携帯している脳足りんのおばはん達。。


わが子を抱きかかえて立ち上がっては窓に行く若い父親。
それをあぶないからと注意するわけでもなく笑って見ている
若い母親。


常識ある隣の席の母親は、

「ねえ、私も見にいっていい?」

と問うたわが子に、


「お外は暗くてなにも見えないのよ。
 貴女が見に行ってもなんのお役にも立てないのよ。
 大きくなってもあんな大人になってはいけませんよ」

と諭します。


幼稚園児や小学生だって「いけません」といわれた
ことは守ります。


それにしても、日本人のマナーの悪さ、モラルの低さには
暗澹たる気分です。
すべての日本人ではないのですが。。


憮然と状況をながめながらやや2時間。

 

「接岸しますので席についてください」

 

とのアナウンスがあり、ドスンと衝撃がありました。

 

それでも子供を抱きかかえたまま、うろついていた若い
父親は接岸の衝撃で、抱えた子供を落としそうになりま
したが、ただ照れ笑いしているだけ。。

頭の回路を疑いました。

 

「ただいま接岸いたしました。
 有難うございました。」

 

とのアナウンスに船内は拍手の嵐です。

私はとうてい拍手なんぞする気になりません。

 

いったい、この拍手はどういう意味の拍手なんでしょう。
そもそもはフェリー会社の保守点検の不備が招いたこと
であり、乗船客の安全な運行義務を軽く見ていた結果
ではないのでしょうか。


具体的な進行状況を都度アナウンスするわけでもなく、
乗船客を不安な状態におきっ放しだったという態度は
非難に値します。

 

翌日、私はフェリー会社に電話を入れました。


私:「昨日の事故フェリーに乗船していたものです」

フェリー会社:「たいへんご迷惑をおかけしました」

私:「そのことはさておき、料金の払い戻しについて
   お尋ねしたい」

フェリー会社:「は・・? 払い戻しと申しますと?」

私:「高速フェリーは1時間45分程度で運航するので
   在来フェリーより料金は高額になっています。
   昨日は帰社の不手際により在来フェリーより
   時間がかったわけですから、契約条項違反となり、
   差額を返金すべきですね。」

フェリー会社:「しかるべく本社に上申して、本日中に
        お電話差し上げます」


 夕刻電話がありました。


フェリー会社:「お客様お申し出の通り、差額を返金
        いたします」


とのことでした。

 

さて、実は我がスタッフの妹さんがこのフェリー会社に
いらっしゃいます。。

しかも、当日はクレームの電話当番となっていたそうです。

お休みの日などにはたまに当店にアルバイトにも来て
います。


その子に聞きました。。


「ねっ、今回の件でクレーム殺到かい?」


「えーーもちろん。。
 一番すごかったのは、焼き鳥屋さんからでーー
 あの船、予備の船がないから修理中の翌日夕方
 まで、すべて運行中止となったんです。
 そのため、その焼き鳥屋さんに予約してた客が
 来れなくなって損害がでたのでその分払えって!」


「それはすごいねーー
 で、金額はいくらだったの?」


「申し訳ありませんでしたって謝って、
 上司に伝えます。 
 損害額はおいくらですか?
 って聞いたんです。。
 そしたら、すっごく大きな声で・・」

 

       5,000円だっ!!

 

って。。。

 

でもフェリー代の差額はクレーム言ってきた人だけに
返金するみたい。。。


ですって。。

 

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コメント

日本では「請求主義」という名の下に、声を上げなければ損するシステムがはびこっているようですからね。年金・生保・・昨今問題になっているものはすべてそうですよね。ボ~とはしてられませんね。まさに「神は自ら助くる者を助く。」ですね。

投稿者: jiima | 2007年10月06日 10:33

その後フェリー会社より文書まいりまして、今回の原因は乗務員の燃料弁操作ミスでしたとのことです。ハイテク船の操作に乗務員が対応できなかったとの説明でしたが、そんなこと運行する前に勉強しておけよなーー。。

投稿者: 店長 | 2007年10月06日 19:24
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