薬としても使われていた海藻 |
「わかめを食べると産後の肥立ちが良い」と昔からいわれて
います。
江戸時代のはじめから西国の庶民の間では、妊娠と決まると、
出産にそなえて古いわかめをほうぼうから買い集めておくと
いう習慣がありました。
そして、出産後、産後の古い血を清めると称して、わかめを
一日に数回、57日間欠かさず食べつづけたと伝えられてい
ます。
わかめも含めて、海藻の健康効果が新しい食品栄養学のもと
に明らかになってくると、人々の間に伝承していた「俗信」
も、まんざら捨てたものではない場合もあるようです。
しかし、根拠のないものもいろいろあります。
「頭痛には、わかめを煎じた汁で髪の毛を洗うと効く」とか、
「こんぶを食べて松前の夢を見ると腹痛をおこす」など、
理解に苦しむもののほうが、ほとんどのようです。
ほかにも、いろいろな海藻の体への効果について、さまざま
ないい伝えがあります。
真偽はともかく、そうしたことからも、いかに海藻が私たち
日本人と古く結びついていたかがわかります。
お隣の中国では、古代から海藻の薬効についての探求がさか
んで、中国古代の、本草書に説いてある薬効は、我が国にも
大きな影響を与えました。
早くも平安時代に我が国で著された「本草和名」にかなり詳
しく記してありますが、江戸時代に入ると中国の書物の翻訳
がさかんになり「本草学」や「海藻薬学」は飛躍的に進歩し
たといわれています。
その説くところは。
・モズクはこぶやのどの腫れ物を散ずる
・ノリはこぶのある人にも脚気を病む者にもよく効く
・アラメは婦人病をなおす
・コンブは十三種の水腫をなおす
・コンブを黒焼きにすると梅干と同じ効能があり、口舌歯牙
の病をなおす
・水腫の病人にコンブと煮た鯉を食べさせると、小便の出が
よくなり、病をなおす
・アオノリはこぶや痔をなおす。ただし咳の出る人にはよく
ない
などなど・・。
現代医学によれば、海藻に含まれているヨード分は甲状腺肥大
に効能のあることが知られていますから、漢方医学は理にかな
っているといえるでしょう。
何より高血圧を防ぐに卓効あることはよく知られているところ
です。
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